So-net無料ブログ作成

ショウキランの種子散布:カマドウマ類による被食散布の更なる証拠 [原著]

Suetsugu (2018) Seed dispersal in the mycoheterotrophic orchid Yoania japonica: Further evidence for endozoochory by camel crickets. Plant Biology 20:707-712.

すでにギンリョウソウ、キバナノショウキラン、キヨスミウツボの果実をさまざまな節足動物が利用し、特にカマドウマ類が主な種子散布者であることは示されている。この論文では、ショウキランでも同じような動物が訪問し、カマドウマ類が主な果実消費者であり、排泄した種子の生理活性を見ているだけではなく、実際に発芽したことを野外で確認しているのがポイント。

2012年と2013年に長野県で調査を行っている。両年ともに夜間に果実消費を直接観察し(のべ40時間)、2012年はセンサー付き自動撮影カメラでも観察している。直接観察時に果実を消費したカマドウマ類を捕獲して、排泄した糞から種子を回収している。糞から回収した種子と果実から採集した種子はTTCで生理活性を確認し、発芽能力を比較している。さらに糞から回収した種子とコントロール種子をショウキランの近くの地面に埋めて、1年後に回収することで、発芽の有無を確認している。

ヒメネズミとアナグマはカメラに撮影されたが、食べてはいない。果実が小さすぎるとは思えないし、哺乳類が食べないところに何か不思議がありそう。センサーが稼働するような動物が果実消費しているわけではないのは、先行研究と同じ結果。食べたのはカマドウマ類を中心とした節足動物で、アリとか甲虫も食べている。40時間でカマドウマ類の訪問回数が40回。

一度、ギンリョウソウの果実で直接観察してみようかな。
コメント(0) 

キホオテナガザルはDracontomelon daoの重要な種子散布者 [原著]

Hai et al. (2018) Gibbons (Nomascus gabriellae) provide key seed dispersal for the Pacific walnut (Dracontomelon dao), in Asia's lowland tropical forest. Acta Oecologica 88:71-79.

ベトナムのCat Tien国立公園でキホオテナガザルがよく利用しているウルシ科Dracontomelon daoの種子散布を調べた研究。2014年11月から2015年9月にかけて、3個体からなる家族を追跡して、果実消費や移動距離などを調べている。2015年にこの家族の行動圏内で結実していた10個体を対象としている。調査対象木から東西南北4方向に20×1mの調査区を設定し(樹冠を超える)、結実期間中、そこに落下した果実、種子、皮を二日ごとに計数している。果実や種子に残された食痕から利用した動物(未利用、テナガザル、マカク、リス)を推定している。結実量は落下した未利用果実と皮の数から推定している。

キホオテナガザルの種子散布距離は、前日に1個体しか利用しなかった場合は、その個体を母樹とし、複数個体を利用していた場合は、1個体しか利用しなかったときの体内滞留時間から推定している。さらに短期間の種子の運命を散布者(テナガザル、マカク、未利用果実)×結実個体からの距離(5m間隔)×種子持ち去り動物の排除の有無(ケージ)の処理を6個体の結実木周辺で行い、のべ1080種子を実験に用いている。種子の発芽は6個体の結実木周辺で結実終了後も約2週間間隔で観察を継続し、発芽の有無を調べている。さらに散布者間(テナガザル、マカク、未利用果実)の発芽率の違いを播種実験から確認している。最後にこれらの情報をまとめてSDEを計算している。

学位論文としてまとめられている中に果実消費の詳細な情報などもあるようなので、続きの論文を期待したい。
コメント(0) 

温帯林におけるゴールデンモンキーによる付着散布の証拠 [原著]

Chen et al. (2018) First evidence of epizoochorous seed dispersal by golden snub-nosed monkeys (Rhinopithecus roxellana) in temperate forest. Plant Ecology 219:417-427.

霊長類による被食散布はよく研究されているが、付着散布についての知見は非常に限られている。2016年7月から11月に中国の温帯林において、人なれしているゴールデンモンキーの群れの12個体(オス4個体、メス4個体、ワカモノ4個体)を対象として、3日ごとにブラッシングして、毛に付着している種子を回収して、同定している。

5科7属8種1920個の種子を回収し、オオダイコンソウ、ヤブジラミ、キンミズヒキなどが優占していた。これは調査地の78種の草本の10.3%の種数に該当する。個体あたり8個の種子を運んでおり、性別や成長段階で種子数に差は見られない。個体あたりが運んでいる種子数は決して多くはないし、掲載写真のようにたくさんの種子をつけた個体ばかりというわけではなさそう。さらにグルーミングで種子を外すこともあるので、地上を歩きまわっているイノシシなどと比べると頻繁に運ぶわけではなさそうだが、初めての報告としての価値が高い。
コメント(0) 

木登りヤギさん反芻中に種子をまく [原著]

Delibes et al. (2017) Tree climbing goats disperse seeds during rumination
Frontiers in Ecology and the Environment 15:222-223.

モロッコで有名な木登りヤギが種子散布している可能性を指摘した論文。ヤギは険しい岩場を利用することはよく知られているが、木に登ることもある。モロッコでは、アカテツ科アルガンノキArgania spinosaに登って、その果実を利用する。1990年代からアルガンノキの種子からとれるアルガン油の市場価値が高まり、需要が増えてきた。アルガン油をとるには、まず果実から果肉を取り除き、核を破壊する必要がある。アルガンノキの果実をヤギに食べさせて、排泄された糞から核を取り出していると言われてきたが、実際は吐き戻しているらしい。モロッコのヤギ飼いたちも核は吐き戻していることを知っている。

有蹄類による被食散布は糞内容分析に注目したものが多いが、確かに吐き戻しでも種子散布しているし、カオヤイならホエジカやサンバーなどで普通に見られる現象。この研究では、ヤギに5種の果実(ヤシ科Chamaerops humilis、バラ科Crataegus monogyna、ニレ科Celtis australis、モクセイ科Olea europaea var. sylvestris、Olea europaea var. domestica、マメ科Ceratonia siliqua)を給餌して、吐き戻される種子の割合とその種子活性をTTC反応で検討している。というわけで、木登りヤギさんの話はイントロで使われているだけ。種子直径が10mmを超える大型種子2種(Chamaerops humilis、Olea europaea var. domestica)は30-45%の種子が吐き出され、その他は10%より少ない。

有蹄類による吐き戻し散布はそんなに見過ごされている種子散布システムだとは思わないけど、イントロの書き方とか上手なのだろうなあ。

コメント(0) 

スマトラ島の劣化した森における鳥類相回復の潜在性を評価する [原著]

Marthy et al. (2017) Assessing the potential for avifauna recovery in degraded forests in Indonesia. Raffles Bulletin of Zoology 65:35-48.

東南アジアの中でもスマトラ島は急速に森林破壊が進んできた地域である。本研究では、スマトラ島のHarapan Rainforest Concessionの森林劣化の程度が異なる森を調査地として、鳥類の個体数密度を比較することで、劣化林と天然林で鳥類相を比較した過去の研究結果を狙っている。

調査地はジャンビ州と南スマトラ州にまたがる標高30-120mの低地林で、鳥類調査はジャンビ側の2箇所の伐採履歴の異なる森を利用している。伐採強度が高い森は1972年と2007年の2回の伐採が行われており、伐採強度が低い森は1992年に1回伐採されている。2kmの調査路を11本(強度伐採:6本、低度伐採:5本)設定し、各調査路に200m間隔でポイントカウント法の調査地を設定している(11ポイント/調査路)。調査期間中に各調査路を3回調査している(3調査×11調査路×11ポイント=363)。

ポイントカウント法による鳥類調査は2011年で、スマトラ島の多くの鳥類が繁殖を行う4月から6月に行っている。午前6時半から10時の鳥の活動ピークがある時間帯に調査を行い、鳥との水平距離はニコンのレーザー距離計を利用して測定している。同時にOlympus VN-8100PC Digital Voice RecorderにAudio Technica ATR-55 Condenser Shotgun Microphoneをつけて音声記録も行っている。生息環境の評価はポイントカウント法の調査区の半径25m以内の環境条件を記録して利用している。樹木は中心から近い胸高直径20cm以上の10個体の胸高直径や樹高、属レベルまでの同定を行っている。ただし、オオバギ属は種まで同定している。Canopy openness、Understory opennessなども測定しているが、前者は全天写真ではなく、Perspex sheetを使った手法を利用している。データ解析にはRのvegan、rich、specaccumを利用し、鳥類の個体数密度推定にはDISTANCE v.6.0を利用している。鳥類相と環境条件の対応はnMDSで解析している。

コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。