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クバ国立公園の道路沿いにおける哺乳類の分布、相対個体数、占有率 [原著]

Mohd-Azlan et al. (2018) Distribution, relative abundance and occupancy of selected mammals along paved road in Kubah National Park, Sarawak, Borneo. Nature Conservation Research 3(2): 36–46.

ボルネオで自動撮影カメラを利用して、哺乳類相を調べた研究は多いが、舗装道路など人間活動の影響を調べた研究はまだまだ少ない。クバ国立公園はサラワクでは唯一、公園内を横断する形で舗装道路があるところで、それを利用して、道路からの距離を5段階の変数として、20台の自動撮影カメラを設置して、哺乳類相を比較している。

2016年10月から2017年4月までの7カ月間、のべ2161カメラ日の調査を行い、1938枚の写真から19種の哺乳類、6種の鳥類(キンバト、アカハラシキチョウ、コルリ、タンビムジチメドリ、コサザイチメドリ、ズグロジチメドリ)、1種の爬虫類を記録している。小型鳥類をここまで同定してある研究は珍しい。哺乳類の中でも特に注目している食肉類、有蹄類、ジャコウネコ類の出現パターンは道路の近傍で少なく、100m以上離れるとある程度の撮影頻度が見られている。

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サラワク州Tanjung Datu国立公園における地上性哺乳類のカメラトラップ [原著]

Mohd-Azlan et al. (2018) Camera trapping of terrestrial animals in Tanjung Datu National Park, Sarawak, Borneo. Raffles Bulletin of Zoology 66: 587–594.

マレーシア、特にサラワク州を中心として自動撮影カメラを用いた調査をおこなっているMohd-Azlanさんらのグループによる研究。サラワク州の最西端にあるTanjung Datu国立公園という小面積保護区(1,379ha)において、2013年7月から2015年10月にかけて、10台の自動撮影カメラ(TrophyCam)をのべ23か所で設置している。

のべ2,490カメラ日の調査から1189回の画像から21種の哺乳類、2種の鳥類、1種の爬虫類が記録されている。中・大型哺乳類のうち、100回を超えて撮影されているのはブタオザル(278回)、イボイノシシ(271回)のみで、ほとんどは50回以下、ハクビシンやセンザンコウは1回しか記録されておらず、ウンピョウやマレーグマなどの大型の肉食動物は記録されていない。

よく撮影されている近縁種がいる分類群については、Dhat1を利用した活動時間帯の比較も行っているが、特に作業仮説があるわけでもないので、とりあえずやってみました感が強い。ただし、イントロや考察部分では、サラワク州やボルネオで行われた自動撮影カメラの研究で記録された中・大型哺乳類の種数がまとめられているので、サラワクのデータをまとめる際には便利。

ただ、私の論文が引用文献リストには掲載されているけど、本文中では引用されていない。以前は重複撮影データの処理として引用していたけど、今回は占有率で解析しているので、本文から削除したけど、引用文献リストは削除し忘れているんではないだろうか。
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小型の渡り鳥では、被食散布が付着散布を卓越する [原著]

Costa et al. (2014) Endozoochory largely outweights epizoochory in migrating passerines. Journal of Avian Biology 45:59-64.

ちょっと古いけどバンディングする際に糞内容分析だけではなく、付着散布も調べている研究。捕獲しているのだから、羽毛に種子が付いていないかくらいは調べている時間はあるのかも?調査地はポルトガル全域の9か所で、2012年9月10日から14日の5日間、朝6時半から11時半の5時間、渡りのピーク時期に行っている。利用可能な果実は調査地内に3本のトランセクトを設置し、計数している。

29科54種926個体を捕獲し、そこからスズメ目の48種を対象としている。そのうち20種から254糞を回収し、19種1833個の種子が見つかっている。回収された種子の大部分は被食散布されており、付着散布された種子は3種3個(セリ科Torilis arvensis、アカネ科Galium aparine、クロウメモドキ科Frangula alnus)のみ。ただ、Frangula alnusは本来、付着散布種子ではなく、たまたまついていた可能性が高いので、本来の付着散布種子は2個だけ。まあ、飛ぶとき邪魔になるだろうから、届く範囲はきれいに外されるのかもしれない。それでも付着機能を持たないFrangula alnusの種子が体表にくっついて実際に運ばれている事例としては貴重。果肉が残った状態であれば、羽毛についても不思議はない。

圧倒的に被食散布よりは少ないとはいえ、付着していることで長距離散布に貢献する可能性もある点では、意外と重要なのかもしれない。
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野外調査と室内実験によるオカダンゴムシの移動能力の推定 [原著]

Furukawa et al. (2017) Estimation of the walking ability of an exotic terrestrial isopod Armadillidium vulgare Latreille by field and laboratory measurements. Edaphologia 101:27-32.

生物の移動能力は生息範囲の推定や群集構造の解明に関わる重要な要因であるが、ワラジムシ類に関する知見はほとんどない。本研究では、外来性ワラジムシ類の一種オカダンゴムシを対象として、野外調査では標識再捕法を用いて、移動能力を推定し、室内実験では、デジタルビデオで録画した映像をMoveTr2Dというソフトで解析して、単位時間あたりの移動能力を推定している。

野外で行った標識再捕法によりオカダンゴムシは1日で24 m、8日で51m移動下個体も見つかっている。一方、室内実験の計測では、1時間で12cmとほとんど動いていない個体もいる一方で、最大49mも歩行した個体が確認されている。一日のうち、実際にその速度で活動する時間は限られるだろうけど、オカダンゴムシも結構、移動する能力はあるらしい。

どこかで見たような気もするけど、この研究で使われているソフトはカタツムリとかナメクジの移動能力を測定しなおす際に参考になりそう。
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行動と腸内滞留時間から推定したオランウータンの種子散布カーネル [原著]

Tarszisz et al. (2018) An ecophysiologically informed model of seed dispersal by orangutans: linking animal movement with gut passage across time and space. Conservation Physiology 6: coy013

東南アジア熱帯において、最大の樹上性果実食動物であるにもかかわらず、オランウータンの種子散布者としての生態系機能の研究については、驚くほど情報が少ない。

まず、オーストラリアの飼育個体を利用して、種子がオランウータンの体内を通過して、糞として排泄されるまでの時間を測定している。ただし、本物の種子を利用しているのではなく、糞からよく見られる2-6mmサイズに対応したビーズを利用している。まあ、他の動物でもよく使われている手法。糞を回収して、その中のビーズをチェックして、種子の平均体内滞留時間を推定している。ビーズのサイズ依存性はなさそうで、2mmで平均70.6時間、4mmで72.5時間、6mmで86.2時間。

次は中央カリマンタンの泥炭湿地林に生息する野生個体(メス4頭、オス3頭)の追跡調査から、採食行動などを記録している。メスとオスで明確に行動パターンに違いが見られ、行動圏推定の手法としてLoCoHというやり方を利用している。あんまり見たことないけど、最近、使われている手法なのだろうか?

これらの情報を組み合わせて、種子散布カーネルを推定して、行動圏内にどの程度の確率で種子が散布されるのかを図示している。メスの場合は76時間以内にコアエリアに戻ってくる可能性が高いので、元の場所からそれほど離れた場所に種子が散布されることは多くはない。一方、オスの場合はメスよりも遠くにランダムに種子を散布する可能性が高そう。オランウータンを対象としているだけではなく、明確に種子散布パターンに雌雄差が出てくる可能性を指摘している点で貴重な論文。

多分、初めて読んだ雑誌。
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