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インドのラジャジ国立公園における3種のサイチョウ類の資源追跡 [その他]

Warrier (2009) Resource tracking by three species of hornbills in Rajaji National Park, Uttarakhand, India.

インドの学生の修士論文で、アジアゾウと列車の衝突事故などでニュースになったインド北部の国立公園での研究。電波発信機を用いての個体追跡と果実資源量の推定を行った研究か?と思ったが、そうではなく、サイチョウ類の個体数センサスデータと結実フェノロジーの対応関係を調べた研究。スラウェシ島でKinnairdさんたちが行った研究に近いが、調査間隔が3カ月と短い。

オオサイチョウ、キタカササギサイチョウ、インドコサイチョウの3種を対象として、1平方キロメートルの28区画を調査地として、2008年12月から2009年4月にかけて、のべ9回の調査を行って、各調査地の結実量とそれに対するサイチョウ類の個体数を調べている。ただし、季節変動というほど長期間のデータではない点は弱い。

解析に使えるほどの情報が得られたのはキタカササギサイチョウのみで、オオサイチョウやインドコサイチョウはほとんど観察できなかったらしい。しかもキタカササギサイチョウの個体数密度ではなく、調査時に調査区画内で遭遇したかどうかの1、0データに変換したものを用いている。個体数密度の場合は、非常に分散が大きくなってしまうのだろう。

結実フェノロジーの観察対象として多く出現しているのは、Ficus spp.、Diospyros montana、Terminalia bellerica、Bridelia retusaなど。カオヤイの乾燥林とよく似た森なのかもしれない。調査期間の4ヶ月間の中では3月がもっとも果実が少ない時期らしい。植生調査のデータを見る限りは、あまりサイチョウ類が食べる果実を持つ樹種は多くはなさそう。直接観察の記録は少ないが、Terminalia bellericaやLimonia acidissimaとか食べるらしい。タナカの果実を食べるのか!Terminalia bellericaをカオヤイで食べていたことはないし、ところ変わればずいぶんと違うものを食べて生活しているらしい。

ホンコンにおけるハクビシンとコジャコウネコの種子散布者としての役割 [その他]

Ho (2009) The role of masked palm civet (Paguma larvata) and small Indian civet (Viverricula indica) in seed dispersal in Hong Kong, China.

昨年、ATBCのアジア部局のシンポジウムをオーガナイズした時の発表者の一人。糞内容分析の前提となる糞からハクビシンとコジャコウネコを区別する方法、糞内容分析による果実食の把握、実験室内と野外での発芽実験を組み合わせた修士論文。

糞内容分析から、33種の植物の種子が見つかっているが、いわゆる哺乳類が食べる果実に含まれるものが多い。乾季に果実の重要性が高まり、雨季には果実が減った分は昆虫類が増える。特にサツマゴキブリ Opisthoplatia orientalisの外骨格が頻繁に見つかるらしい。そんなものを食っているのか…。

東南アジアの食肉目による種子散布に関連した文献を丁寧に収集してある引用文献は参考になる。特に中国で過去に行われている文献がまとまっているのはありがたい。

コレットさんはシンガポールへ移る際に19年かけて収集したジャコウネコ類の糞内容分析を行ったデータをポンと著者に渡していったらしい。地道に収集したデータをきちんと記録しているのはさすがだ。

ケニアの熱帯低地林における果実と果実食動物の相互作用 [その他]

Engel (2000) Seed dispersal and natural forest regeneration in a tropical lowland biocoenosis (Shimba Hills, Kenya). Logos, Berlin 345pp. (www.uni-bayreuth.de/departments/biogeo/thomas.htm)

2005年にオーストラリアで開催された種子散布シンポジウムでお会いしたドイツ人研究者の学位論文。その存在は知っていたけど、ダウンロードできる形で公開されているとは知りませんでした。いや、ケニアの低地熱帯林における果実と果実食動物に関する基礎情報がたっぷりと含まれています。

対象としている動物群はいわゆる果実食の哺乳類、鳥類にとどまらず、爬虫類や肉食の哺乳類などにも言及している。もちろん糞虫の二次散布も含んでいる。しかし、ここのアフリカゾウは糞から200種以上の種子が見つかっているらしい。小型の種子もチェックしているからかもしれない。この段階で既に動物群間で糞から回収される種子の種数を比較するのにrarefaction curveの1種であるShinozaki curveを用いて解析しているとは!Journal of Tropical Ecologyに掲載されたPoulsenの論文が最初だと思っていたけど、この学位論文の方が早いか?しかし、この人、何故このデータの山を使って投稿論文を書いていないのだ?

カオヤイの世界遺産登録用の報告書 [その他]

Lynam et al. (2006) Status of birds and large mammals in Thailand's Dong Phayayen - Khao Yai forest complex. Biodiversity Research and Training (BRT) Program and Wildlife Conservation Society, Bangkok, 245 pp.

私がカオヤイで調査を行っていたのと同時期に大規模に行われていたWCSがらみの調査報告書がようやく出版された。分布・個体数調査の報告書なので、大部分は各種の生息情報が鳥の調査はフィリップ・ラウンドが行っているのでかなり正確な調査になっていると思う。

大型哺乳類は自動撮影装置が主だが、私が調査行っていたカオヤイの中心部以外の周辺部でも調査を行っている。この報告書のデータがこの地域の世界自然遺産の申請の審査にも使われたのではないだろうか?中身はかなりショッキングな内容。カオヤイで動物がたくさんいるのは本当にHQ周辺くらいらしい。ブタオザルもカオヤイの全域にいるわけではなく、かなり分布は限られている模様。

周辺部に関しては、調査中にカササギサイチョウを撃ち落したのを見たとか書かれている。ピライさんのチームの調査でもカオヤイの東側は特に密漁がひどく、大きな木がある割には動物の気配がほとんどしないといっていた話と一致する。トラは1999年の調査ではまだ数個体確認されていたものが、2002年以降では1個体が何度も撮影されているらしい。

カオヤイにはかなり長い間通ったけど、トラに出会わなかったのも納得する。糞か足跡しか見たことがないものなあ。カオヤイはいい森だと思って調査をしていたけど、他の東南アジア地域と同様にほとんどは既に空洞化した森だったのかもしれない。カオヤイに関連した鳥類・哺乳類の調査は報告書の類までしっかり収集してあるので、文献情報は役に立つ。

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