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侵入種ヨウシュヤマゴボウ用に開発したマイクロサテライト11座 [原著]

Bentley et al. (2015) Eleven microsatellites in an emerging invader, Phytolacca americana (Phytolaccaceae), from its native and introduced ranges. Applications in Plant Sciences 3:1500002887-897.

アジアで侵入種として大きな問題になりつつあるヨウシュヤマゴボウを対象として、原産地のアメリカ2箇所(フロリダとイリノイ)、侵入先のアジア3箇所(中国:徐州市、南京市、日本:須賀川市)でサンプリングした個体から得たマイクロサテライト11座を報告した論文。

自分が使うことはないけど、こんなんも開発されているということでメモ。

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鳥類による種子の持ち去り率を従来法とデジタルビデオ観察で評価する [原著]

Mokotjomela et al. (2016) An appraisal of seed enumeration and videographic techniques for determining seed removal rates by birds. African Journal of Ecology 54:281-288

南アフリカのケープ植物区において、在来種(Chrysanthemoides moniliferaとOlea europaea africana)と外来種(Lantana mararaとSolanum mauritianum)を対象として鳥類による果実持ち去りを従来法の枝の果実数を直接計数する手法とデジタルビデオカメラで観察した手法を比較した研究。調査地はケープ植物区を含む4箇所で、それぞれで4種を対象としている。潜在的な果実食鳥類は、ミドリメジロ、メジロアフリカヒヨドリ、オリーブツグミ、チャイロネズミドリ、オリーブバトの5種。

果実持ち去り量を評価する従来法では、15個体から4枝ずつをマーキングして、30日後に残存果実数を再調査している。さらに0.25m2の種子トラップを設置して、果実の落下量を推定し、枝上の残存果実数と組み合わせて、鳥類による果実の持ち去り量を推定している。実際はもうDaily Seed Removal Rates(DSR)を計算するために推定式を使っている。

デジタルビデオによる観察では、各調査地において、結実個体から30m離れた距離にKodac C813を設置して、早朝3時間、夕方3時間の調査を5日間行い、種毎に30時間の記録、計480時間の映像を記録している。このうち鳥類の採食活動が記録されたのは192時間(40%)。鳥類の採食行動がよく見られる朝夕に調査を限定しているからかもしれないが、よく撮影されている。

両手法で、一日あたりの種子の持ち去り率には、調査地・対象種の間で有意差は見られなかった。いずれの手法でも外来種のSolanum mauritianumは他種よりも高い種子の持ち去り率を示していた。ただ、1.5倍くらいなので、物凄く高いわけでもなさそう。シチヘンゲが意外と鳥に食べられておらず、考察では鳥類以外の動物、特にヤマアラシの糞からシチヘンゲの種子が見つかっているらしいけど、学位論文に書いてある内容のようなので、読めん。

樹上の残存果実数を計数して、種子トラップのデータと組み合わせて種子の持ち去り率を推定する従来法では、当然、種子を持ち去った鳥種やシードトラップからの持ち去りの影響を考慮できない。デジタルカメラを利用した方が詳細な採食行動を記録できることはわかるけど、あとのデータの処理にどの程度の時間がかかったのかなどの情報が知りたい。自動撮影カメラではないけど、ヒメアオキの論文のイントロで引用しておかねばならなかった論文だった。
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ヒメオオコウモリによる送粉がドリアンの果実生産を高める [原著]

Aziz et al. (2017) Pollination by the locally endangered island flying fox (Pteropus hypomelanus) enhances fruit production of the economically important durian (Durio zibethinus). Ecology & Evolution (in press). DOI: 10.1002/ece3.3213

新熱帯のコウモリによる花粉媒介や種子散布の研究と比べると東南アジア熱帯におけるオオコウモリの生態系機能を対象とした研究、特に花粉媒介に係る研究は非常に限られている。一方で、オオコウモリは果実を加害するなど、人間との摩擦もある動物である。すでに小型のコウモリがドリアンの花粉媒介に貢献していることは知られているが、いわゆるflying foxの貢献はよくわかってはいなかった。

調査地は半島マレーシアのティオマン島で、自動撮影カメラをドリアンの樹上に設置して、訪花動物を記録している。自動撮影カメラを2.4-20.3mとさまざまな高さに設置することで、高さによる訪花動物の違いも調べている。カメラのは花から2mの位置に設置し、撮影は10秒間、映像間インターバルは1秒にしている。データの解析に使っているRのパッケージはoverlap、reshape2、ggplot2など。overlapは共著論文で自動撮影カメラのデータ解析の際に使っていたか。自動撮影法と並行して、日中と夜間にそれぞれ直接観察も行っているが、あまり長時間の観察は行っていない。自動撮影カメラの撮影記録からは小型のコウモリの同定が困難な場合があるので、樹上でカスミ網を利用した捕獲調査も行っている。これらの調査から得られた訪花動物と結果率との関係を調べている。

19箇所に設置したカメラの内、16箇所のカメラから54日間2733回のビデオクリップと3367の静止画を得ており、6種の脊椎動物を記録している。無脊椎動物はオオミツバチとガだが、こちらは静止画でのみ記録されている。センサー感度の問題かな。いろいろな高さに自動撮影カメラを設置したことで、結果的に動物ごとに利用階層が異なる可能性、特にSaraさんたちのタイの先行研究から知られているような小型種のみならず、樹高の高い場所の花では、ヒメオオコウモリの貢献が高いことを示している点が重要。タイ南部に住んでいたころの宿舎横のアカテツ科の木にもよくオオコウモリが来ていたけど、てっぺん辺りでウロウロしていたものな。

タイのコウモリ研究者、マレーシアの哺乳類研究者、種子散布研究者など、東南アジア熱帯で植物と動物の相互作用系を研究してきた知人の名前がずらっと並んだ多国籍チームによる研究。
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樹木の葉の表(向軸側)から発する緑青色蛍光の特徴 [原著]

Nakayama & Iwashina (2017) Characteristics of green-blue fluorescence generated from the adaxial sides of leaves of tree species. Journal of Plant Research 130:301-310.

日本の動物散布に関連していて、Journal of Plant Researchに掲載されていたにも関わらず、Corlettさんの総説を読むまで存在に気がついていなかった論文。果実の紫外線反射については、これまでも幾つもの先行研究が知られているが、果実そのものではなく、一部の樹木では、葉表から緑青色蛍光を発することで、果実食動物にアピールしている可能性を指摘している。

対象は国立科学博物館の筑波実験植物園内に生育する日本在来の47科141種の葉をサンプリングして利用している。さらにヒメアオキについては、別途、果実が付いた枝もサンプリングしている。暗条件下でサンプリングした葉にUVを照射し、代表的な葉を3枚選択して、デジカメで撮影し、蛍光の輝度をL*という指標で評価している。その他に葉をミクロトームで切断して、蛍光顕微鏡で観察したり、分光蛍光光度計でスペクトルを測定したりしている。

Fig. 1に一見すると同じようにピカピカしている8種の樹木の葉が並べられているけど、これが紫外線下ではツバキだけが明るく見えている。141種のうち、このような明葉をもつ樹種はツバキ、サザンカ、サカキ、アオキ、ネズミモチ、ヒイラギ、ヤマグルマ。ツバキ科が多いけど、ツバキ科の中でもナツツバキのように暗葉しかない樹種もある。常緑性が関係しているのかとも思ったけど、モッコクは暗葉。アオキとサカキは明葉と暗葉の二型があり、ヒメアオキを利用して、より詳細な比較を行っている。ヒメアオキの明葉と暗葉では、形やサイズには明確な違いは認められない。サカキでは新しい葉は暗葉、古い葉が明葉なので、ヒメアオキでも葉寿命が関係していそう。

鳥にも同じように見えているのであれば、アオキとか、人の目にはテカテカで同じように見える葉っぱが実は明葉と暗葉が組み合わさって、とても目立っている可能性があるなんて素敵。ただ、ヒメアオキの雄株も同じようなパターンを示すのだろうか?雌株だけに見られるのなら、おもしろそう。

というわけで、執筆中の論文でさっそく引用する予定。
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土中の花粉から雌雄異株植物の性別を判別する [原著]

Sugiyama et al. (2017) The use of soil pollen to determine the sex of overhead individuals of a temperate dioecious shrub. American Journal of Botany 104:632-638.

雌雄異株の植物個体の性別を決定するには、開花期に花を観察するのが一般的。開花時期が限定されている植物もいれば、観察時に開花しない個体もいるため、対象個体の性別を決めるのは意外と面倒。この研究では、アオキを対象として、1)虫媒花であるアオキの花粉が土中に存在しているのか、2)土中に含まれるアオキの花粉量はメス個体よりもオス個体で多いのか、の2点について検討している。

調査地は茨城県の牛久自然観察の森で、林床のアオキが調査対象。アオキは虫媒花をつけ、風媒の植物ほどは花粉を生産しないが、それでも雄花をつける雄個体の下には、メス個体よりも多数の花粉が落下するとの仮定は不思議ではない。2015年12月にメス10個体(果実から判定)とオス10個体(2016年3月に再訪して雄花を確認)の直下の土壌(O層とA層の2箇所×3方向×10個体×2性別)を計120サンプル採取している。O層は2-3年前の花粉の集積、A層は10年前までくらいの花粉の集積を反映していると考えている。これらのサンプルに含まれる花粉数を計数して、比較している。

大量のスギなどの風媒植物の花粉に混じって、O層とA層の両方から風媒植物と比べると数は少ないものの、アオキの花粉が見つかっている。また、どちらの層でもメスよりもオスの下で花粉数が多い。この花粉数の情報から、ロジスティック回帰を使って、雌雄判別してみると比較的高い値で正しく予測できている。オス個体の開花数はいずれの層の花粉量ともに相関が見られない。しかし、オスの樹高とはO層では正の相関があり、A層では相関が見られない。1回の開花数では、明確ではないけど、大型個体の直下だと貯まる花粉が多いのか。

分子情報を使ったりすればより正確に性別を決めることができる場合もあるけど、この研究で提示された方法はシンプルで簡便なので、熱帯とかでも使いやすそうな点が良い。というか、こんな研究していたんですね。
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ジャワ中部ウンガラン山のシワコブサイチョウ生息域の空間モデリング [原著]

Rahayuningsih et al. (2015) Spatial modeling of Whreathed Hornbill (Aceros undulatus) habitat in Mount Ungaran Central Java. International Journal of Environmental Science and Development 6:474-477.

同じ調査地で行われた営巣記録の論文(Rahayuningsih et al. (2017) IOP Conf. Series: Journal of Physics Conference Series 824 (2017) 012061)でサイチョウ類の食性に関する情報として引用されていたけど、全く違う内容だったので、ちょっと期待外れ。タイトルのシワコブサイチョウの英名のスペルが間違っているけど、本文を通して使われているので、とりあえずそのまま掲載。

ジャワ中部ウンガラン山に生息するシワコブサイチョウを対象として、Land cover、Elevation、Slope、River distance、Road distanceの5つの要因に注目して、生息適地を解析している。ただ、各要因で使われているカテゴリーへの加重のかけ方がよくわからない。斜面がきつい方がよい環境になっている理由が不明。あと川からの距離が何に関係するのかもよくわからん。巣の位置情報は地図に掲載されているけど、詳細情報は不明なので、続きの論文を待つしかなさそう。

ジャワ中部ウンガラン山におけるシワコブサイチョウの営巣記録 [原著]

Rahayuningsih et al. (2017) Nest records of Wreathed Hornbill (Rhyticeros undulates) in Gunung Gentong Station, Mount Ungaran Central Java. IOP Conf. Series: Journal of Physics Conference Series 824 (2017) 012061.

インドネシアのサイチョウ類の情報が少しずつ公開されるようになってきた。調査地はジャワ中部ウンガラン山で、対象種はシワコブサイチョウ。ジャワ島には3種のサイチョウ類が生息するらしいけど、残り2種が何か書いていない。そのくらいの情報は書いてもよいだろうに。2010-2016年にかけて、Gunung Gentong stationで調査を行い、営巣木の標高、樹種、樹高、DBH、巣穴の高さ、営巣状況を記録している。

10本の営巣木のうち、6本は2010-2015の間に使われていたもので、4本は2015年に使われていなかったもの。フトモモ科Syzygium antisepticumが6本、Syzygium glabatrumが1本、残りはFicus sp.が2本とCratoxylon formosumが1本。フタバガキ科が一本も使われていないのが不思議な気がする。調査地の詳細が書かれていないのだけど、すでにフタバガキ科は切られているのだろうか?単に標高1,000m付近で、あまりフタバガキ科が優占していないのだろうか。

貴重な情報が掲載されている論文にフリーアクセスできるのはよいのだけど、体裁が整っていないものも多いので、注意して読まないといけない点が悩ましい。ただ、これまで現地語でしかアクセスできなかった情報が英語で公開されるようになったのはありがたい。必要な情報をうまく抽出して、まとめておこう。

相利共生系における有効性概念の枠組み [原著]

Schupp et al. (2017) A general framework for effectiveness concepts in mutualisms. Ecology Letters doi: 10.1111/ele.12764.

主に植物と動物の相互作用系で使われてきた量的な要素と質的な要素からなる有効性(effectiveness)の枠組みを5つの共生系(送粉、種子散布、植物防衛、根粒、菌根)に拡張を試みた研究。effectivnessという用語自体は使われてきているが、研究によって意味合い異なり、必ずしも統一的に使われているわけではない。また、植物と動物の相互作用系では、パートナーとなる動物が植物の適応度や個体群動態に及ぼす影響に注目しているが、植物の資源を動物が利用することで、動物の適応度や個体群動態に及ぶ影響についてはほとんど知られていない。これらの共生系には多様なシステムが含まれるが、process(相手から受け取る資源やサービス)とoutcome(資源やサービスは適応度や個体群動態に即効性があるものと遅発性があるものがある)には共通点があり、そこに注目して一般的な枠組みを構築しようとしている。

分断化した熱帯景観を渡った種子:実際の種子散布距離を推定する [原著]

Ismail et al. (2017) Evaluating realized seed dispersal across fragmented tropical landscapes: a two-fold approach using parentage analysis and the neighbourhood model. New Phytologist DOI: 10.1111/nph.14427.

種子散布の研究で実際にどのくらいの距離、種子が運ばれているのかをしらべるには、遺伝情報を用いて親木と実生の親子関係を徹底的にしらべるというのが一つのやり方。しかし、潜在的な親候補を広範囲にわたって網羅的に調べるのは至難の業。特にサイチョウ類のような大型鳥類は行動圏が広く、追跡調査が難しいことから、その種子散布距離は移動パターンと体内滞留時間から間接的に推定されてきた。しかし、これらの情報はあくまで潜在的な種子散布距離の指標に過ぎず、何らかの形で実測値と比べる必要がある。

このチームではインド西部で主にサイチョウ類やミカドバトなどの大型の果実食鳥類によって種子散布されるセンダン科Dysoxylum malabaricumを対象として、216平方キロの35カ所の森林パッチの親個体を全てサンプリングし、それらの遺伝情報を利用して、実生488個体の親子解析を行い、実現している種子散布距離を推定している。森林の分断化が種子散布過程に及ぼす影響に注目しているが、そのスケールが先行研究よりもずっと広い範囲である点がユニーク。

この調査地では、結実木での直接観察は行ってはいないが、Dysoxylum malabaricumはニシインドコサイチョウOcyceros griseusによって種子散布されている。別のグループによる先行研究では結実木での観察が行われており、ニシインドコサイチョウが主な訪問者で、ミカドバト類は少ない。ニシインドコサイチョウの吐き戻し時間は短く10分程度で、吐き戻された種子にも発芽能力があることが確認されている(92%と100%)。ただ、種皮がついたままの種子の発芽率が10%(n=5とn=2)と書かれているのが謎?まあ、サイチョウ類が吐き戻した種子は基本、発芽能力があることは間違いない。ただ、種皮がついた種子は林床に落下したら、アリが種皮を食べると思うけど。

調査地内に68か所の20x20m調査区を設置し、結実木周辺の23調査区内で計313個体、ランダムに設置した調査区で175個体の実生からサンプリングをしている。実生はGPSで5mの誤差で位置を記録している。Paretage analysisとNeighbourhood modelの二つの方法で種子散布距離の推定を行っている。488個体のうち、高い確率で両親が確定したのが321個体、片方が79個体。両親が確定した321個体のうち、267個体は両親と実生が同一のパッチ内、53個体は片親が別のパッチ内、1個体は両親と実生がすべて別のパッチに由来していた。

過去の研究例と比べるとニシインドコサイチョウの実際の種子散布距離は随分と短いと考察しているけど、先行研究で扱っているサイチョウ類はもっと大型なので、必ずしも種子散布距離が過大評価されているわけではないのではなかろうか。ただ、サイチョウ類が種子散布に絡む植物を対象として、遺伝情報を活用して種子散布距離を推定した貴重な研究であることは間違いない。

南アフリカの都市-森林モザイクでナキサイチョウの出現を決める要因 [原著]

Chibesa & Downs (2017) Factors determining the occupancy of Trumpeter Hornbills in urban-forest mosaics of KwaZulu-Natal, South Africa. Urban Ecosystems. doi:10.1007/s11252-017-0656-3.

南アフリカのナキサイチョウを対象として、ポイントカウント法による調査を行い、都市-森林モザイクにおける出現パターンを解析した研究。2014年9月から2015年3月にかけて、3調査地に計50箇所のポイント(およそ1km間隔)を設定し、10回の調査を行っている。さらに各ポイントの半径30m以内の結実木の数、大きな木の数、ヒトの活動(調査中に通過したヒトや車の数)、住宅密度、標高との関係を調べている。

50箇所のポイントのうち、ナキサイチョウが記録されたのは19箇所にすぎない。ナキサイチョウのoccupancyに関わる要因としては、ヒトの活動(負の効果)、大きな木の数(正の効果)、detenctionに関わる要因としては、住宅密度(負の効果)、結実量(正の効果)で、それほどおかしくはない。ただ、いずれの要因も値が小さいところでばらつきが大きく、ある程度、大きな値ではoccupancyもdetenctionも高い(低い)ので、閾値がありそう。

ナキサイチョウはある程度、都市環境も利用できるとは言え、好んで使っているわけではなさそう。

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