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鳥類の生態的役割 [総説]

Sekercioglu (2006) Increasing awareness of avian ecological function. Trends in Ecology and Evolution 21:464-471.

鳥が生態系内で果たしている役割を大きく4つ(genetic linkers、resource linkers、Trophic process linkers、Non-trophic process linkers)に分類して、各々についてまとめている。この4つの役割は排他的なものではなく、いくつか重複している場合が普通。

最初のgenetic linkersは植物の遺伝子を運ぶという意味で使われており、具体的には送粉過程と種子散布過程がとりあげられている。よくまとまっているけどあまり新鮮味はない。というのも引用文献がそれ程新しいものではなく、アイデアとしても比較的メジャーなものを取り上げているに過ぎないためだろう。送粉も同様。他のカテゴリーに関しては私が知らないだけで、その分野の人が読むと物足りない感じがするのだろうな。まあ、鳥の役割なんていう非常に広い分野のレビューになっているので、ここにとりあげているものについては簡単にしか紹介できないので仕方がないか。

文献紹介セミナーなんかで紹介するにはよいとは思う。本論とあまり関係ないけどハゲワシの胃酸のpHが1で、強烈な胃酸でバクテリアの感染を防いでいるらしい。特に南アジアでハゲワシ類の減少が激しいと書いているけど、もっと激しいであろう東南アジアは研究している人がいないだけだと思う。ただ、ファイルサイズが5Mもあるのはどうかと思うけど?

アリー効果に着目した花粉・種子散布 [総説]

Ghazoul (2005) Pollen and seed dispersal among dispersed plants. Biological Review 80:413-443.

タイでもShoreaの送粉を研究していたことのある人。よくまあこれだけの論文を読んでまとめていると思います。この人も書いているが、論文レビューをする際に注意しないといけないこととして、何らかの仮説を検証する目的で論文を収集すると、その仮説が棄却されたものや結果がはっきりしないものは、論文として報告されていない可能性があるということ。

この論文ではアリー効果に着目して論文レビューしている。熱帯地域での種子と実生の死亡率に関する研究で、距離依存・密度依存の研究が進んでいたけど、この研究では送粉系での話が多い。そのためタイトルはPollenとSeedになっているけど、内容的にはPollenの話がほとんど。終わりのほうに、ちらっとSeed dispersalに関連した話があるが、非常に短い。が、短いなりによくまとめてある。意味はわかるのだけど、Purityはどう訳すのが適当なのだろうか?

鳥類の侵入生態学 [総説]

Duncan et al. (2003) The ecology of bird introduction. Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 34:71-98.

侵入種の問題は島の方が効果が明瞭な場合が多い。東南アジアは侵入種というよりはヒヨドリの仲間のように籠脱けしている種は結構いるかもしれないけど、いわゆる分布域外からの侵入種はそれ程いないのか?単純に研究されていないという可能性が高い気もするが。鳥の侵入はほとんど18-19世紀にヨーロッパ(特にイギリス)からニュージーランドやオーストラリアなんかに持ち込まれたものが多いらしい。

植物の二次代謝産物の重要性 [総説]

Dearing et al. (2005) The influence of plant secondary metabolites on the nutritional ecology of herbivorous terrestrial vertebrates. Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 36:169-189.

果実でも二次代謝産物の重要性を考慮した研究がこれから増えると思うけど、それ以前に果実の栄養分析とかのデータがいい加減すぎるものが多いからなあ。実験的に示した方がよいのか?それとも野外での栄養分析のデータのサンプルサイズをもっと増やす方向で研究が進んでいくのか?いずれにしてもお金がかかりそう。

この論文では果実食については考慮しないということで、鳥は草食で有名なツメバケイぐらいしか掲載されていない。植物本体や花や葉には二次代謝産物が含まれていても、果実には含まれていない場合もあるからなあ。果実のレビューを誰かかいてくれないかしら。

種子サイズの歴史 [総説]

Moles et al. (2005) A brief history of seed size. Science 307:576-580.

種子サイズがらみの論文を立て続けに発表しているMolesさんの論文。種子サイズと関連してくるのは生活型で、散布型や緯度ではないというのは、これまでに他の論文などで報告されている傾向と同じだけど、用いているデータセットが非常に大きいために説得力があるのか。付録の資料が異常に長いけど、これ読まないと何やっているのかよくわからん。

脊椎動物による種子植物の散布 [総説]

Tiffney (2004) Vertebrate dispersal of seed plants through time. Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 35:1-29.

最近の論文で、種子サイズに絡んだ進化を扱っている場合に引用されていることが多い文献。著者は以前からこういった感じの種子散布の歴史的な側面を取り扱った論文が多く、種子サイズの進化などを扱った論文では頻繁に引用されている(もちろん逆の主張をしている人も多いけど。例えばEriksson et al. 2000, American Naturalist)。化石記録に残りやすい種子とそうでないものとがあるから、対応関係はどのくらいつくのか微妙なところ。内容は時代ごとに種子散布に関連してくる植物と動物の化石記録をリストアップしている。

食べているのかどうかを直接観察できないので、糞化石や胃内容物化石に頼ることになる。果実の化石にしても、基本的には種子のみが多いので、果肉部分があったかどうかはよくわからない。植物は特に原生のものとの比較から、果肉の有無などを推定しているらしいので、その辺もあやふや。胃内容物が残っている化石なんてあるもんなんですな。

低規模な一斉開花時におけるフタバガキの繁殖 [総説]

Maycock et al. (2005) Reproduction of dipterocarps during low intensity masting events in a Bornean rain forest. Journal of Vegetation Science 16: 635-646.

マレーシア、サバ州セピロクのフタバガキ科を対象とした種子食害・種子散布・実生動態などを調べた研究。サンプル数は非常に少なく、動物は不明であるが、フタバガキ科の種子が二次散布されていることが確認されている。筆者たちは二次散布は行われたけど、実験期間内に消費されたため、それほど重要ではないのではないかと結論しているが、設置した種子のサンプル数が各種120個であることを考えると、サンプル数を10倍にするなりすれば、貯食活動がはっきりするのではなかろうか?

また著者も書いているように、この実験は結実規模が小さかった2003年に行われているため、種子食害者の捕食圧が高く、貯食活動につながらなかった可能性もある。比較対照として用いているドリアンの種子の種子捕食圧はかなり高いようだ。調査を行った3年間でいずれも多少はフタバガキ科の結実が見られているというデータは重要。全体的にはランビルの中川さんたちのデータと似ているが、こちらは捕食者の排除実験を林床で行っている。また周辺をアブラヤシのプランテーションに囲まれているセピロクでは、本来移動性が高かったであろうヒゲイノシシが定住しているので、種子食害圧が高い可能性もある。同じチームからまだ続きの研究が出るようだ。

カメルーンのサイチョウの繁殖生態 [総説]

Stauffer & Smith (2004) Breeding and nest site characteristics of the Black-casqued Hornbill Ceratogymna atrata and White-thighed Hornbill Ceratogymna cylindricus in south-central Cameroon. Ostrich 75:79-88.

ATBC用の文献のレビューで、サイチョウの繁殖期の餌データが定量的に掲載されている数少ない文献の一つ。アフリカの森林性のサイチョウでこのようなデータが提示されているのはこの論文とKalinaの学位論文くらいか。イントロ部分でカメルーンチームの研究を紹介している部分は参考になる。

アジアのサイチョウと比べるとイチジクの量が極端に少ない。カオヤイのピライさんのデータと比較すると、繁殖成功もカオヤイで一番低いシワコブサイチョウよりもさらに低い。サイズ的には両種ともにカササギサイチョウと同じくらいであることを考えると、ちょっと低すぎるような気がする。が、カオヤイのデータは非常に長期間のデータを用いたものであるし、この論文は2年間だけだから、長期間のデータでパターンが変わる可能性もある。


植物の繁殖における花粉制限 [総説]

Knight et al. (2005) Pollen limitation of plant reproduction: pattern and process. Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 36:467-497.

レビュー中の論文で引用されている関係上、読むことになった論文。新年早々にメールでリプリントを依頼したら、1時間も経たないうちに返事が来た。系統関係を考慮せずに単純に比較した方法(traditional statistical analyses, TIPS analyses)と系統関係を考慮して比較した方法(the analysis of phylogenetically independent contrast, PICs)で解析を行っている。この分野は5年毎ぐらいの間隔でレビューがあるみたい。

熱帯間比較研究の重要性 [総説]

Corlett & Primack (2006) Tropical rainforests and the need for cross-continental comparisons. Trends in Ecology and Evolution 21:104-110.

2005年に出版されたPrimack & CorlettのTropical rain forestsを基礎にしたレビュー論文。一度でも本を読んでいると非常に話がわかりやすい。この文献では、新熱帯、アフリカ熱帯、東南アジア熱帯、マダガスカル、ニューギニアと熱帯林を大きく5つのブロックにしている。本から文献情報が新しくなっている。

ランビル本からも引用されている文献があるので、やはり読んでおく必要がある。特に系統関係の論文や分子データを用いた論文は私があまり読んでいないため知らない文献が多い。

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