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光合成をやめた植物におけるカマドウマ類による種子散布 [原著]

Suetsugu (2017) Independent recruitment of a novel seed dispersal system by camel crickets in achlorophyllous plants. New Phytologist doi/10.1111/nph.14859

カマドウマといえば、最近はハリガネムシとの関係が有名だけど、実は種子散布にも貢献していたことが解明された。葉緑素を持たず、系統的にも離れた3種の植物(キバナノショウキラン、ギンリョウソウ、キヨスミウツボ)を対象として、果実消費の直接観察と排除実験による果実消費者の特定、カマドウマ類(コノシタウマとマダラカマドウマ)の体内を通過した種子の発芽能力の確認から、これらの植物は被食散布によって種子を散布し、その主な種子散布者がカマドウマ類であることを示した研究。

静岡県の調査地において、2011年と2012年の結実期に自動撮影カメラで哺乳類や鳥類を観察したところ、アカネズミの訪問が記録されたが、果実を食べていなかった。一方、果実に食痕が残っていたことから、自動撮影カメラのセンサーには反応しない小型の生物が食べていることが推測された。2012年から2014年は主に夜間の直接観察により果実消費を記録している。キバナノショウキランで90時間、ギンリョウソウで50時間、キヨスミウツボで50時間の直接観察を行っている。

直接観察で果実消費が記録された無脊椎動物のうち、主な消費者であったカマドウマ類(コノシタウマとマダラカマドウマ)とツヤヒラタゴミムシ属について、野外の捕獲個体や実験室内で給餌した個体の糞内容分析を行い、実体顕微鏡下で種子の有無を確認し、種子が見つかったものはTTCで種子活性を確認している。カマドウマ類からは健全な種子が見つかるが、ゴミムシからは種子が見つかってない。さらにカマドウマ類から回収した種子の活性は果実から採集した種子の活性と同程度あることから、体内通過による種子への影響はなさそう。カマドウマ類の糞って、こんなにたくさんの種子が含まれているのか。

実物はギンリョウソウの果実しか見たことはないけど、どうしてアカネズミや他の哺乳類などがこの果実を食べないのか、逆にどうして無脊椎動物たちがそんなに集まるのかも不思議で、その辺にまだ秘密がありそうなシステム。実はギンリョウソウとか種子散布者がよくわからない液果はナメクジとかに種子散布されているのではないか?と書いたことがあるのだけど(北村俊平. 2013. フェノロジー研究 48:43-54)、カマドウマたちだったか。日本にもまだまだ見過ごされてきた生物間相互作用がありそうでワクワクする論文。
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