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鳥類による種子の持ち去り率を従来法とデジタルビデオ観察で評価する [原著]

Mokotjomela et al. (2016) An appraisal of seed enumeration and videographic techniques for determining seed removal rates by birds. African Journal of Ecology 54:281-288

南アフリカのケープ植物区において、在来種(Chrysanthemoides moniliferaとOlea europaea africana)と外来種(Lantana mararaとSolanum mauritianum)を対象として鳥類による果実持ち去りを従来法の枝の果実数を直接計数する手法とデジタルビデオカメラで観察した手法を比較した研究。調査地はケープ植物区を含む4箇所で、それぞれで4種を対象としている。潜在的な果実食鳥類は、ミドリメジロ、メジロアフリカヒヨドリ、オリーブツグミ、チャイロネズミドリ、オリーブバトの5種。

果実持ち去り量を評価する従来法では、15個体から4枝ずつをマーキングして、30日後に残存果実数を再調査している。さらに0.25m2の種子トラップを設置して、果実の落下量を推定し、枝上の残存果実数と組み合わせて、鳥類による果実の持ち去り量を推定している。実際はもうDaily Seed Removal Rates(DSR)を計算するために推定式を使っている。

デジタルビデオによる観察では、各調査地において、結実個体から30m離れた距離にKodac C813を設置して、早朝3時間、夕方3時間の調査を5日間行い、種毎に30時間の記録、計480時間の映像を記録している。このうち鳥類の採食活動が記録されたのは192時間(40%)。鳥類の採食行動がよく見られる朝夕に調査を限定しているからかもしれないが、よく撮影されている。

両手法で、一日あたりの種子の持ち去り率には、調査地・対象種の間で有意差は見られなかった。いずれの手法でも外来種のSolanum mauritianumは他種よりも高い種子の持ち去り率を示していた。ただ、1.5倍くらいなので、物凄く高いわけでもなさそう。シチヘンゲが意外と鳥に食べられておらず、考察では鳥類以外の動物、特にヤマアラシの糞からシチヘンゲの種子が見つかっているらしいけど、学位論文に書いてある内容のようなので、読めん。

樹上の残存果実数を計数して、種子トラップのデータと組み合わせて種子の持ち去り率を推定する従来法では、当然、種子を持ち去った鳥種やシードトラップからの持ち去りの影響を考慮できない。デジタルカメラを利用した方が詳細な採食行動を記録できることはわかるけど、あとのデータの処理にどの程度の時間がかかったのかなどの情報が知りたい。自動撮影カメラではないけど、ヒメアオキの論文のイントロで引用しておかねばならなかった論文だった。
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ヒメオオコウモリによる送粉がドリアンの果実生産を高める [原著]

Aziz et al. (2017) Pollination by the locally endangered island flying fox (Pteropus hypomelanus) enhances fruit production of the economically important durian (Durio zibethinus). Ecology & Evolution (in press). DOI: 10.1002/ece3.3213

新熱帯のコウモリによる花粉媒介や種子散布の研究と比べると東南アジア熱帯におけるオオコウモリの生態系機能を対象とした研究、特に花粉媒介に係る研究は非常に限られている。一方で、オオコウモリは果実を加害するなど、人間との摩擦もある動物である。すでに小型のコウモリがドリアンの花粉媒介に貢献していることは知られているが、いわゆるflying foxの貢献はよくわかってはいなかった。

調査地は半島マレーシアのティオマン島で、自動撮影カメラをドリアンの樹上に設置して、訪花動物を記録している。自動撮影カメラを2.4-20.3mとさまざまな高さに設置することで、高さによる訪花動物の違いも調べている。カメラのは花から2mの位置に設置し、撮影は10秒間、映像間インターバルは1秒にしている。データの解析に使っているRのパッケージはoverlap、reshape2、ggplot2など。overlapは共著論文で自動撮影カメラのデータ解析の際に使っていたか。自動撮影法と並行して、日中と夜間にそれぞれ直接観察も行っているが、あまり長時間の観察は行っていない。自動撮影カメラの撮影記録からは小型のコウモリの同定が困難な場合があるので、樹上でカスミ網を利用した捕獲調査も行っている。これらの調査から得られた訪花動物と結果率との関係を調べている。

19箇所に設置したカメラの内、16箇所のカメラから54日間2733回のビデオクリップと3367の静止画を得ており、6種の脊椎動物を記録している。無脊椎動物はオオミツバチとガだが、こちらは静止画でのみ記録されている。センサー感度の問題かな。いろいろな高さに自動撮影カメラを設置したことで、結果的に動物ごとに利用階層が異なる可能性、特にSaraさんたちのタイの先行研究から知られているような小型種のみならず、樹高の高い場所の花では、ヒメオオコウモリの貢献が高いことを示している点が重要。タイ南部に住んでいたころの宿舎横のアカテツ科の木にもよくオオコウモリが来ていたけど、てっぺん辺りでウロウロしていたものな。

タイのコウモリ研究者、マレーシアの哺乳類研究者、種子散布研究者など、東南アジア熱帯で植物と動物の相互作用系を研究してきた知人の名前がずらっと並んだ多国籍チームによる研究。
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