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オナガサイチョウのカスク取引 [原著]

Beastall et al. (2016) Trade in the Helmeted Hornbill Rhinoplax vigil: the 'ivory hornbill'. Bird Conservation International 26:137-146.

特徴的な外見をしたサイチョウ類の中でも特にカッコいいオナガサイチョウの違法取引の現状をまとめた論文。2013年に開催された国際サイチョウ学会でもインドネシアで急速にオナガサイチョウの密猟が進行していると共著者の一人であるHadiprakarsaさんがプレゼンしていたが、その後も状況はあまり変わっておらず、2015年にはNTからCEに格上げされた。ネット経由の取引では、Redはオナガサイチョウの頭骨、Blackはサイの角、Whiteは象牙を指す隠語として使われている。

著者たちは2012年3月から2014年8月までにオナガサイチョウの取引や没収品の記録を収集し、さらにCITESのデータベースも利用して、現状についてまとめている。少なくとも2170個のオナガサイチョウの頭骨またはカスクが24ヶ所から没収されていた。没収数の平均は87で、最小が5、最大が306で、半分以上の没収品がインドネシアの8ヶ所で行われた没収品に由来していた。この間、Operation Cobraで没収された324個のオナガサイチョウのくちばしもあるが、この内の一部は著者たちのデータと重複している可能性があるので、表の数値からは除かれている。

没収品があったのはインドネシアと中国で、タイ、マレーシア、ミャンマーからは記録が見つからなかった。ただし、ミャンマーと中国国境付近の市場で2014年1月にTRAFFICの研究者がオナガサイチョウのカスクの加工品を4つ記録している。ミャンマーでは、これまでにキタカササギサイチョウ、シワコブサイチョウ、オオサイチョウの頭骨は何度も記録されてきたが、オナガサイチョウの頭骨はこれが初めて。インドネシアでは主に空港で没収されており、大部分は西カリマンタン。一方、中国では、加工場や骨董品市などで没収されている。

オナガサイチョウをターゲットにするようになったのはここ数年の傾向だが、もともと象牙、センザンコウ、トラなどを扱っていた犯罪シンジケートがオナガサイチョウも扱うようになったに過ぎない。対策はなかなか難しい。

Collar (2015) Helmeted Hornbills Rhinoplax vigil and the ivory trade: the crisis that came out of nowhere. BirdingASIA 24: 12-17も合わせて読むとオナガサイチョウの厳しい現状がよくわかる。こちらはカラー写真が豊富に掲載されており、頭骨だけではなく、狩猟直後の写真も掲載されている。

タイ国ナラチワ県バラの森におけるズグロサイチョウの繁殖 [原著]

Karapan et al. (2015) Observations on the breeding biology of Wrinkled Hornbill Aceros corrugatus Temminck, 1832 in Bala forest, Narathiwat, Thailand. Malayan Nature Journal 67:184-188.
http://www.mnj.my/index.php/mnj/article/view/185

タイでポスドクをしていた頃に滞在していたタイ国ナラチワ県バラ野生生物保護区では、時折、ズグロサイチョウを見ることができたが、しばらく繁殖記録は途絶えていた。この論文では、2012年の繁殖期にズグロサイチョウの営巣木をのべ504時間観察して、運び込まれたエサなどの食性を調べている。2005年の南アフリカで開催されたサイチョウ会議の際にポスター発表では情報が出ていたけど、こういった繁殖生態の観察例としては初報告らしい。

バラの宿舎近くの森で営巣していたズグロサイチョウのオスは時々、宿舎の近くにやってきていたので、よく見ていたけど、タイではかなりレアな鳥。

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