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熱帯アジアの脊椎動物による果実食と種子散布の最新情報 [総説]

Corlett (2017) Frugivory and seed dispersal by vertebrates in tropical and subtropical Asia: An update. Global Ecology and Conservation 11:1-22.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2351989417300860

Corlett (1998) Frugivory and seed dispersal by vertebrates in the Oriental (Indomalayan) region. Biological Review 73:413-448でまとめられたアジア熱帯に置ける果実食と種子散布についての情報を最新版に更新した論文。対象とする地域は、前回と同じで北は沖縄から東南アジア、南アジアに至る範囲。ただし、前回の総説のように全ての情報を網羅的に集めたものではなく、重要な進展が合った分野について選択的に紹介した総説。この地域ではなくても近縁種がアフリカなどに生息する場合は、そちらの知見も含まれている。

魚類の種子散布は、あまり進展はなく、新熱帯と比べるとほとんどわかっていない。というわけで、これから面白い相互作用が見つかるかもしれない分類群の一つである。爬虫類の種子散布も同様であまり進展がないが、ホンコンのオオアタマガメの食性を調べた研究から、種子散布の可能性が指摘されている。ニホンイシガメの種子散布、誰か研究しませんかね?

キジ科は以前、ResearchGate経由で情報を集めた話も書かれている。カモ類の種子散布はヨーロッパで非常に進展しているけど、この地域では皆無。日本でカモ類を研究している人はぜひ、種子散布にも注目して欲しい。ハトのところで、なぜかシジュウカラの論文を引用しているが、別の論文と間違えたのではないだろうか?鳥類だと依然として種子散布者としての重要性が明らかにされていないのが、babblerたち。カオヤイにいたころにもっと真面目に観察しておけばよかったなあ。結構、地上で落果を食べていると思われる。シャーマントラップのピーナッツとか食べていたし。

鳥類と比べると哺乳類はアジアゾウ、ジャコウネコ、オランウータン、リーフモンキー、マカク、テナガザルなど主要な果実食動物のほとんどはカバーされてきた。日本人研究者の論文も多数引用されている。網羅的ではないといっても、Corlettさんよりもこの地域の文献情報に目を通している人はいないだろう。インドやインドネシアの新しい雑誌に掲載されているマイナーな果実食情報までしっかり拾い上げている(まあ、査読したのかもしれないけど)。過去20年間にこの地域で行われた果実食と種子散布に関する重要な論文をCorlettさんの解釈とともにカバーできるありがたい総説なので、この地域で種子散布に関わる研究をする人はCorlett (1998)と合わせて必読の文献。前者の総説ほどではないかもしれないけど、これからよく引用される文献になるでしょう。
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