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屋久島のアコウ果実を利用する果実食動物群集 [原著]

Hamada & Hanya (2016) Frugivore assemblage of Ficus superba in a warm-temperate forest in Yakushima, Japan. Ecological Research. DOI 10.1007/s11284-016-1398-z

東南アジア熱帯においてイチジクは果実食動物の餌資源として重要な位置を占めているが、亜熱帯の情報は非常に限られている。屋久島はニホンザルの調査の歴史は長いけど、こういった結実木を延々と観察して、訪問する果実食動物を記録した研究は少なく、自動撮影カメラを樹冠に設置して、アコウを利用する動物を記録した研究があるくらい。

屋久島の西側の低地林で、2011年10月から2012年10月(2012年9月をのぞく)にかけて、毎月、54個体のアコウを観察して、結実状態を記録している。さらに5×200m調査区内のDBHが5cm以上の118個体の結実状態を毎月記録し、アコウ以外の果実資源量を推定している。果実食鳥類の季節変動は2kmのラインセンサスで記録している(のべ78回、3-10回/月)。ただ、アコウの結実量は推定おらず、解析には結実個体の割合を利用しているのが不思議。

アコウは結実ピークにある4個体を選択して、結実木への訪問動物の観察と果実消費行動の記録を行っている。屋久島の場合、夜間に樹上で果実を食べる動物はほとんどいないと想定されるので、日中の観察でOKというのは便利。コウモリ、ムササビ、リス、ジャコウネコなど東南アジアの主要な夜行性果実食動物がいないんだものなあ。観察は連続4時間を基本として、午前の8-12時と午後の12-16時を基本としている。ただ、この観察時間帯だと果実食鳥類の採食ピークを外している時期もありそうなので、果実食鳥類の果実消費量は過小評価しているかも。カラスバト、ズアカアオバト、キジバトは何故かまとめてハト類としている。キジバトは種子食害しそうだけど、ズアカアオバトは他のTreron同様に種子散布しているんじゃなかろうか。

調査期間中を通して、アコウはほぼ一定の割合が結実している不思議なフェノロジー。カオヤイのアコウってこんなフェノロジーだったかな?観察時間はのべ564時間(141回)。日本国内や東南アジアの先行研究と比較しても十分な観察時間は確保されている。訪問動物はニホンザルと鳥類14種。564時間の観察中に採食行動を記録できたのは109回で、ニホンザルが63回、ハトが26回、ヒヨドリが15回、ヤマガラが4回、メジロが1回。訪問回数自体はヒヨドリの方がニホンザルより倍以上多いのだけど個体追跡して観察することが難しかったということか?ニホンザルの消費果実数が圧倒的に多くて、全体の87.6%にもなる。ただ、この研究を行った年は冬鳥があまり多くなかったらしく(ただ、ラインセンサスの詳細データは提示されていない)、果実食鳥類による消費を過小評価している可能性があるらしい。

564時間も観察したのであれば、どのくらいの観察時間を稼げば十分な推定値が得られるとか、希釈曲線とか描いてみたい。ただ、動物がたくさん来たときとそれ以外の時のばらつきがものすごく大きいのだろう。エコリサにはあまり投稿されてこないテーマの論文だけど、このくらいの観察時間があれば、あんまり文句はつけられないだろう。
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