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外来ナメクジがアリ散布共生系を搾取する [原著]

Dunphy et al. (2016) An invasive slug exploits an ant-seed dispersal mutualism. Oecologia 181:149-159.

外来ナメクジによるウマノスズクサ科Asarum canadenseのエライオソーム消費が、アリ散布に与える影響を複数の実験を組み合わせて検討した研究。Asarum canadenseの種子散布に関わる動物は在来アリのAphaenogaster rudis、外来アリのMyrmica rubra、外来ナメクジのArion subfuscus、在来のネズミの計4種。まず野外での排除実験から、どの分類群がAsarum canadenseの種子を持ち去り、エライオソームを消費するのかを調べている。さらにビデオ観察から対象生物以外の生物による種子へのアプローチを観察している。室内実験では、外来ナメクジがエライオソームを消費することで、種子持ち去りに与える影響を評価し、最後にナメクジの密度を変えたメソコスム実験から、アリの種子持ち去りに与える影響を評価している。

調査地はカナダのオンタリオ州キングシティ近くのKoffler Scientific Reserveで、Asarum canadenseが多数生育している環境。実験用の種子は果実が裂開する際に収集し、マイナス21度で冷凍保存している。アリは一度、エライオソームが冷凍されていても気にしないらしい。ネズミ排除区はケージ、アリ排除区はタングルフット、ナメクジ排除区は銅板とInsect-a-Slipという商品を組み合わせている。銅板だけでは、ナメクジの完全排除は難しいとのこと。これらの実験をビデオ撮影して、実際に排除対象とした生物に効果があることを確認している。そうだよね、ナメクジ排除って、結構、難しい。

排除実験から、アリだけが種子の持ち去りに効いており、ナメクジはエライオソームを消費するが、種子を運ばない。この辺はヨーロッパのナメクジによるアリ植物の種子散布の研究例とはちょっと違う傾向。ネズミはほとんど訪問しなかったが、種子とエライオソームの両方を消費した。室内実験からアリはエライオソームがある種子を19倍も多く持ち去っており、エライオソームの有無が種子の持ち去りに与える影響は大きい。また、ナメクジの高密度区では、エライオソームの食害が増えるため、結果的にアリによる種子の持ち去りが制限されている。

アリ散布に直接かかわるアリではなく、外来ナメクジがエライオソームを消費することで、アリ散布を阻害することを提示した点で貴重な研究。ナメクジの種子散布に絡む研究なので、てっきりTurkeさんの仕事かと思ったけど、カナダの別グループでまだ続きがありそうな雰囲気。実験システムを確立するまでが大変だったのではないかな。
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