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種子のヒクイドリ体内通過と排泄パターンが発芽に及ぼす影響 [原著]

Bradford & Westcott (2010) Consequences of southern cassowary (Casuarius casuarius, L.) gut passage and deposition pattern on the germination of rainforet seeds. Austral Ecology DOI: 10.1111/j.1442-9993.2009.02041.x.

オーストラリアでヒクイドリの種子散布を研究しているチーム。ヒクイドリはオーストラリアの熱帯林で最大の果実食鳥類であり、さまざまな植物、特に大型の果実・種子をもつ植物の種子散布に貢献している。

この研究ではヒクイドリが果実を食べて、その種子が体内通過することの効果(発芽率と発芽速度)を調べている。意外とこれまでの先行研究では、まとまった形で発芽実験の効果を見ている研究は少ない。ヒクイドリの餌植物17種を対象として、コントロール、落果種子、洗浄種子、果肉やアリルを取り除いた種子、同種種子集中、他種種子集中の6つの実験設定で発芽実験を行っている。

ヒクイドリに散布される場合は複数種の種子が同時に含まれていることが多いので、それを実験的に再現するための設定をしてある点はよい。ただし、実験処理が多い分、個々のサンプル数はあまり多くない。ヒクイドリに食べられることで、発芽率の向上や発芽速度の上昇が見られた種が4割と微妙な数字。量が多いとは効いていたけど、一箇所に排泄される種子の量が数キロになるらしい。そりゃ、激しい密度効果があるんだろう。

正直なところ、提示されているデータはイマイチだけど、欠けている部分をうまく補ってかいてあるし、オーストラリアを代表する動物の研究ということで掲載されたのかな。ヒクイドリの種子散布に関連した先行研究がきちんと整理されている点は便利。
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コメント 3

あらい

初めまして。
現在、ヒクイドリをリサーチ中で、
こちらには今日初めてお訪ねしました。
論文に対する考察が鋭く、
Abstractを楽しく読んでしまいました。
ringoさんのおかげですね^^

本文までは読めていないのですが、
Abstractに、「ヒクイドリが食べなくては全く発芽しない1種類」という 記述を認め、ふしぎな思いになりました。
こんな関係ができるなんて、やっぱり自然は面白いですね。

もし、ご記憶でしたら、なんという植物なのか、
ご教示いただけないでしょうか?
そちらの植物についても調べてみたいと思っておりまして。

初めてにも関わらず、不躾なお願いを申し上げ、恐縮です。
よろしくお願いいたします。

by あらい (2010-12-09 18:51) 

ringo

クロタキカズラ科のApodytes brachystylisという直径10mmほどの果実です。

ヒクイドリのような特定の動物に食べられないと発芽できないのではなく、ヒクイドリ以外の別の動物でも良いのではないかと思います。

もっと言うと、単に発芽実験を行った期間が短く、さらに継続調査を続けていれば、別の条件下の種子も発芽した可能性は高いのでは?と思います。
by ringo (2010-12-09 20:48) 

あらい

ringoさん、さっそくありがとうございました。

ヒクイドリの場合、他の動物が食べられない大きな果実を丸飲みし、
広範囲に伝播するのが、森の多様性を保つ上で最大の貢献なのでしょうか。また、毒性の認められる果実を独特の酵素で解毒し、伝播するという事も聞きました。

いずれにしろ、かなり原始的な鳥類のようですから、
(直接の祖先が誕生したのはいつごろなのか知りませんが)
長い時間をかけて被子植物との間に密接な関係を築いたのでしょうね。

不躾なお願いに快く対応下さり、感謝感激です。
どうもありがとうございました!


by あらい (2010-12-10 15:10) 

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